外資系転職初年度に必要となるサバイバル術
こんにちは。アレックスです。
今日は日系企業から外資系企業に転職した人が、外資の世界で生き残る上で大切なポイントを伝えたいと思います。
外資系企業は成果主義を採用しているので、成果を出せない人は会社からどんどんいなくなりますので、非常に人材の入れ替わりが激しい環境です。
一方で、そのような環境の中でも長く外資系企業で働くことができる人材が多くいることも事実です。
外資系企業にうまく馴染め、しっかりと生き残ることができるか否かという観点でとても大切なのが、転職後の1-2年目の過ごし方です。
前提として理解してほしいのが、外資系では、直属の上司が人事権を持っていて、直属の上司による人事評価が低い場合、最悪のケースでは退職勧告をされます。人事部は、採用・リストラなどの制度設計と円滑な運用に責任を負いますが、個々の人事に関する最終判断は、業務部門側と直属の部門長に任せられています。そのため、直属の上司の評価が低い人は、外資系では長く生き残っていくことができません。
また、外資系ではマネージャに人事権を与える代わりに、チーム全体の業績が悪い場合は、一部の低パフォーマーが原因であったとしても、部門長が責任を問われます。
つまり、管理職のメンバーは、会社から与えられたチーム構成員で成果を出すことを求める日本企業と違い、外資系では、チームとして成果を出すために必要なメンバーを揃えることもマネージャーの職務の一環となっています。そのため、必要に応じて、メンバーの入れ替える前提でチームの運営をします。
メンバーの入れ替えを躊躇した結果、チーム全体の成果が出なかった場合は、マネージャー自身が責任を負うこととなり、リストラの対象となってしまいます。従って、転職してきて間もないメンバーのパフォーマンスに対しても、ある程度厳しく評価せざるを得ないのは理解できるかと思います。
この評価・査定は、毎四半期ごとに実施され、それらの総合評価を年度末に行います。
私の経験では、外資系企業のマネージャは、2つの軸で、部下を評価するよう指導されることが一般的です。
1つ目の軸は、その部下のパフォーマンスです。営業であれば、前年度の売り上げ目標に対さる達成度が、もっとも分かるわかりやすい例です。もちろん、部署によってはパフォーマンスの定義が違うので、それぞれの部署に応じた目標に対するメンバーの達成度と言うものがパフォーマンスの評価になります。つまり、前年度の実績が1つ目の評価軸です。
2つ目の軸は、そのメンバーのポテンシャルとなります。ポテンシャルと言うと少しわかりにくいかもしれませんが、今後さらなる活躍が期待できる人物かどうかと言う判断が2つ目の評価軸です。
一般的に、日本の企業から外資系に初めて転職してきた人や、異なる業界から転職してきた人にとって、新しい会社の企業カルチャーや仕事の進め方など戸惑うことが多く、これまでと違う新しいやり方に慣れるのに精一杯で、すぐれた実績を出せないケースがほとんどです。
もちろん、非常に優秀で1年目から難なく優れた実績を上げるエリートや天才肌もいますが、凡人にとって大切なのが、この2つ目のポテンシャル評価軸で高得点をとることです。
この2つ目の評価軸では、実績よりもプロセスを重視していますので、日々の仕事ぶりが評価の対象となります。
日々の仕事ぶりを評価してもらうために、入社後は、上司と円滑にコミュニケーションすることを最優先に考えてください。
自分に割り当てられた仕事の内容について少しでも理解できない点があれば、その時点で恥ずかしがらずに質問して、内容が明確になるまでしっかりと確認する必要があります。
最初の段階で質問をせず、あたかも仕事の内容を理解できたふりをして仕事を進めた後になってから、実際は仕事の内容を理解できていなかったことが判明するのは、とても印象が悪いのでお勧めできません。
転職当初は、その会社のカルチャーや業界用語など、わからないことが多くて当たり前なので、恥ずかしがる必要は全くりません。わからないものは、ちゃんと理解できていないことがあれば、この点をもう一度説明してもらえますか?、と清々しいくらいはっきりと質問するようにしましょう。
保険をかける意味で、このプロセスの最後には、今回の業務内容は、xxxとxxxをxxxxのようにやり、ここまで終わったら再度その後の進め方について協議するという流れで理解しましたが、合ってますでしようか?などと、自分が勘違いをしている点がないか、再確認をするのもおすすめです。
業務開始後は、遂行中の業務に関して、上司の負担にならない配慮をした上で、頻繁に報告することも、とても重要です。
外資系の管理職は多忙なので、毎回電話などで上司にアドバイスを求めるような事はせず、毎日業務内容について箇条書きにまとめメールする程度で大丈夫です。中には、報告と質問を混ぜた形で、凄く長いメールを上司に送る人がいますが、それはお勧めできません。報告なのか質問なのか、最後まで読まないとわからず、上司としても負担に感じます。
そもそも、長いメールを書く人は、仕事ができない人が多いです。逆に、仕事ができる(生産性の高い)人は、判断とアクションが早く、メールは短く要点に絞って書きます。スピードが求められる現在のビジネス環境において、メールを書くのに長い時間を費やすのは自身の生産性を低下させるだけでなく、読まされる相手の業務時間を奪っていることも認識すべきです。
また、アドバイスを求める場合は、単純にどうしたらよいでしょうか?のような、ボンヤリとした質問しない方が良いです。このような質問は、自分て考える努力を放棄した上で、相手に熟考と判断をアウトソースしている行為と認識した方がよいかもしれません。
お勧めなのは、自分の頭をフルに使って選択肢を準備し、それぞれのメリット・デメリットを洗い出した上で、自分の判断を付け加えた上で、アドバイスを求める形です。
このような仕事の進め方を日常的にできると、仕事ができる部下として、あなたの評価が高まることでしょう。
上司から見て1番困るのは、日ごろの報告がなく、大きな問題が発生してから急に連絡をもらうことです。このような部下は、仕事を任せられない無能な部下との印象を上司にもたれ、同様のことが続くと、リストラの対象となってしまいます。
コミュニケーションを日ごろからしっかりととることを心がけ、上司との円滑な関係性を維持できるように心がけましょう。
ここまで述べてきた心構えで、仕事に臨むことによって、2つ目の軸であるポテンシャル評価で高得点を取れると思います。実績があればなお良いですが、仮に実績がなかったとしても、この2つ目の評価で高得点を取ることで、転職後に最も難しいと言われる最初の1年目・2年目をうまく乗り切れるでしょう。
少し余談ですが、このポテンシャル評価は昇進の際にとても重要視されます。いくら実績を出していたとしても、日頃の仕事の仕方そのものが高く評価されておらず、他者の見本とならない仕事の仕方で成果を収めている人は、更に上のポジションには昇進できないでしょう。
現場が大好きで、独特なやり方で大きな成果を出し続けるスーパー営業やSEなどは、このケースに当てはまります。
また、実績が低くてパフォーマンスに連動する変動給を多く貰えなかったとしても、この2つ目の軸の評価が高い人には、RSUと呼ばれる仕組みで自社株を報酬としてもらえる権利を付与されます。
RSU(譲渡制限付株式ユニット)とは、一定期間経過後に株式を受け取ることができる権利が付与される事後交付型の株式制度です。この権利は、概ね付与されてから4年をかけて毎年25%ずつ行使できることになっていま。逆に言えば、この権利を100%行使するためには、RSUを付与されてから4年間の勤務継続が必要なので、会社がRSUを付与することは、ポテンシャルが高い(今後さらなる活躍を期待できる)人材の流出を防ぐ意味も込められています。
一般的な印象通り、外資系企業では日本企業と比べ個人単位の仕事の成果を、より重視していることは確かですが、日々の仕事ぶりやポテンシャルを評価する仕組みも有しています。
上司の期待値をしっかり理解した上で、丁寧な仕事と上司との円滑なコミュニケーションを日々継続して、外資系でのキャリアを着実に固めてみてください!