外資に向いている人の4つの特徴

今日は外資系企業で成功する人が持っている4つの特徴について書いてみたいと思います。

 


まず、この記事で言う外資系企業について、誤解のないように定義したいと思います。外資系企業には大きく分けて3つの形態が存在します。1つ目は海外企業の100%会社、2つ目は海外企業と日系の共同出資、3つ目は日系企業が買収されて外資系になった会社となります。

 


私が20年以上経験を積んだのは、海外企業が100%出社する子会社である1つ目のケースなので、この記事では1つ目のケースの外資系企業を念頭に、そこで成功しやすい人、向いている人について書きます。

 


外資系企業に適した人の第一の特徴は、実力主義の世界で自分の力を試したいと常々思っているタイプの人です。日本にある外資系企業は、日本の労働基準法に準じた業務を行ってはいるのですが、労働者を守ると言う観点においては、日本企業とはレベルの差がかなりあります。

 


考え方は、プロのスポーツ選手の環境に近く、会社が求める実力がないと判断された人・実力を発揮できない人は、遅かれ早かれ会社から去ってもらうことになるので、会社に守ってもらう意識は捨てないといけません。常に自己のスキルを磨き、それを持続的に発揮することが求められています。

 


年功序列のカルチャーは殆ど存在しないので、特に若手(20代・30代)で自らの実力を十分に発揮する機会に乏しいと感じながら現在仕事をしている人にとっては、外資系企業への転職を選択肢のひとつとするのは良いと思います。

 


2つ目の素養としては、変化への対応力に秀でていることです。外資系の企業は市場環境の変化への対応を常に心がけており、日本の企業と比べると、非常に早いペースで会社の方針や組織の体制が変更されます。

 


景気が少しでも悪くなれば、躊躇なく組織をスリム化するためのリストラを敢行しますし、逆に景気が良くなれば、思い切った社員の増員をします。

 


また、世界の地域レベルでも頻繁に変化します。例えば、日本地域の売り上げが今後本社が期待するように増えていかないと判断した時は、(最悪のケースでは)日本市場から撤退するというところまで行います。そうなったら、日本支社の従業員は全員解雇されます。

 


私の経験談をお話しすると、2000年頃にドットコムバブルが崩壊して業績が悪化した時、私が勤めていた外資系IT企業ではグローバルで大幅なリストラをしました。日本支社では当時約800名いた従業員のうち、約200名が即日解雇される事態となりました。

 


会社からその日は朝9時に全員出社し、自分のデスクにいるよう厳命されていました。当日、リストラ対象となった人は自分のデスクの電話に順番に人事部から電話がかかってくる流れとなっていたので、電話が鳴らないように願いながら、デスクの電話の前で緊張して数時間を過ごしたのを覚えています。

 


幸い、自分はリストラの対象にはなりませんでしたが、その後に見た、人事部の前にリストラ対象者の長い列は、今でも忘れられません。

 


リストラだけでなく、会社の組織や体制を変更したり、買収・合併に伴い会社の体制が大規模に変更されるなど、劇的な変化が目まぐるしく起こるので、それらの変化にうまく対応することが必要になります。

 


それらの変化にうまく対応できる能力を身に付けていることが、外資系の世界で生き抜くにはとても重要な要素となります。

 


また、いつリストラされてもおかしくないので、常に危機感を持って自己研鑽に励み、自分の市場価値を上げておくことが肝要です。最悪リストラされても、他の会社に現在と同条件か、それ以上の条件でスムーズに移籍出来るよう準備しておく必要があります。

 


3つ目目の素養としては、自分の意見を大勢の人の前ではっきり主張できることです。よく会議で何も発言しない人がいますが、そのような態度は外資系では全く歓迎されません。

 


意見も言わない・質問もしないような人は、他の会議の参加者に全く貢献しない人材と評価されてしまいます。また、これは日本人の悪いところだと思いますが、会議で発言しなかったにもかかわらず、会議が終わった後に仲間内などで会議の内容に対して文句を言ったり批判する人がいます。そのような態度はさらに嫌がられます。

 


自分の意見を恐れることなく主張するためには、日常から物事に対してよく熟慮した上で、自らの意見を持つ習慣を身に付ける必要があります。その上で、批判を恐れずに自分の意見を人前ではっきりと述べることが求められています。

 


学校の勉強と異なり、ビジネスの世界では正解は一つではなく、完璧な答えなど存在しないので、自らの意見に完璧を求める必要は全くありません。完璧を求めるがあまり、何も発言できなくなってしまうような人は、外資系では生き残っていくのは難しいと思います。

 


これはアメリカ人に聞いたジョークなのですが、国際会議の成功を図る要素が2つあって、1つ目は(主張が大得意な)インド人の発言を抑制できたか、2つ目は(シャイで何も発言しない)日本人が発言できたか、と言うものです。

 


残念ながら、国際的にも日本人が発言しないことはよく知られています。先生の話を黙って聞くことが中心の日本の受け身教育の弊害だと思いますが、自らの意見を発言できないことは、外資系企業ではまったく歓迎されません。日本人コミュニティの中では、主張し過ぎると判断されるくらいで、外資系ではちょうど良いのかもしれません。

 


4番目の特徴は、自分のキャリアに責任を持てる人です。これは2番目に挙げた変化への対応力に秀でていると言う点と関連しますが、外資系はとにかく変化が多いので、それにうまく対応すると同時に、自分のキャリアは自分で築き上げていく、と言うしっかりとした気概を持っていないと、常に周囲に流され続けることになります。

 


外資系企業に入って、その後昇進して経営幹部を目指しているような人は、上司や会社(または製品)のせいにしているとなかなかうまくいきません。常に自らのキャリアを作るのは自分であり、自分の周りで起こっていることはすべて自分に責任があると言う強い気持ちを持って、前向きにチャレンジし続けることが、外資系企業で成功できる大事な要素の1つとなります。

 


私は管理職になってから数百人の候補者を面接してきましたが、その中に頻繁に会社を移り歩いている人を多く見かけました。採用面接では、これまで候補者がキャリアをどのような考えで作ってきたのか、作ろうとしているのかを必ずお聞きしました。そこでわかったことの一つは、転職を繰り返す人は、自分のキャリアを場当たり的に考えていることと、他責にしたがる傾向が強いことです。

 


例えば、転職を繰り返す候補者が、ある会社でリストラされた理由を聞くと、自分の実力が足りなかったとは絶対に言いません。多くの候補者は、運悪く本社の方針変更により日本のポジションがなくなったのでリストラされた、みたいな感じで言い訳します。そのような考えの人は、1社ではなく複数の会社で同様の退職を繰り返しているのですが、その原因が自分の日々の行動や考え方にあると言う根本理由が理解できていないので、私は絶対に採用しませんでした。

 


くどいようですが、自分のキャリアは自分に責任がある、自分のキャリアを作るのは自分であるという強い信念を持っていない人は、外資系に行かないことをおすすめします。

 


ここまでの4つが、自分が考える外資系企業に向いている人が持つ主な要素となります。 

 


あと最後に1つだけ。外資系企業への転職の話をすると、よく英語の話になることがあるのですが、外資系で自分らしく仕事ができるという観点からすると、英語の優先順位は低いと思います。特に前線のフィールドで働く、営業・SE・サポートなどのメンバーにとっては、それが当てはまります。

 


英語はもちろん出来た方が良いですし、メールの内容が概ね理解できる程度の英語力はあった方が良いですが、仮にわからな買ったとしても、グーグル先生に翻訳して貰えば良いので、そこまで重要視する必要はありません。したがって、英語(特に話す・聞く)は外資系企業に入ってから身に付ければ何とかなると思います。

 


それ以上に、先に挙げた4つの要素の方が外資系の中で生き残ってためには、より重要だと思います。これらの4つのマインドセットというか、心構えが自然に身に付いている必要があります。自然に、というのがポイントで、無理してこれらの要素を自分に適用させないといけない人は、どこかの段階で無理が出てしまうので、外資系ではなく、日経の企業でキャリアアップしていった方が、中長期的には良いのではないかと自分は思っています。

 


魚は山を登れないという英語のことわざがありますが、魚は水の中でこそ活き活きとするのであって、無理して陸上で生活すると、必ず死にます。

 


同様に、自分が事前と輝ける、自分の特性や長所を生かせる場所を選ぶのが、仕事でも最優先事項です。自分をしっかり見極めた上で、その点だけは妥協せず間違いのない選択をしていきましょう!