不動産投資と生前贈与を活用した資産継承の極意
こんにちは、きみです。
先日、静岡県で初めての収益不動産を購入したことをお伝えしましたが、今日は相続税対策という観点から、資産継承について自分の考えをお伝えしたいと思います。
自分の場合、35歳の時に大きな病気を経験し、それまでの貯金をほぼ使い果たしてしまった経験があります。
このとき痛感したのは、人生は自分が計画した通りには進まないということです。
どんなに周到に人生設計をしていても、明日、予期せぬ事態が起こるかもしれません。
だからこそ、相続対策を含めた資産継承の準備は、できるうちに早めに始めることが大切だと考えています。
特に相続税対策は、一朝一夕にはできません。不動産投資にしても生前贈与にしても、計画的に時間をかけて進めていく必要があります。
まだ51歳とはいえ、これまでの経験から、できるだけ早めに次世代への資産継承の準備を始めることにしました。
自分の場合、35歳の時に大きな病気を経験し、それまでの貯金をほぼ使い果たしてしまった経験があります。
この経験から、できるだけ早めに次世代への資産継承の準備をすることの重要性を痛感しています。
1. なぜ今から相続対策が必要なのか
多くの方は、相続対策は60歳を過ぎてから考え始めれば良いと思っているかもしれません。
しかし、これには大きな落とし穴があります。
まず、相続税の基礎控除額が年々下がっている現状があります。以前は5億円だった基礎控除が、現在では「3,000万円 + 600万円×法定相続人の数」まで引き下げられています。
例えば、配偶者と子供2人の場合、基礎控除額は4,800万円(3,000万円 + 600万円×3人)となります。
都心部の不動産価格の上昇を考えると、この金額はそれほど大きくないことが分かります。
具体的な例で見てみましょう。配偶者と子供2人の世帯で、以下の資産を相続する場合を考えてみます:
- 自宅の土地と建物:7,000万円(土地5,000万円、建物2,000万円)
- 金融資産:5,000万円
合計:1億2,000万円
まず、基礎控除額を計算します:
3,000万円 + (600万円 × 3人) = 4,800万円
課税対象となる金額は:
1億2,000万円 - 4,800万円 = 7,200万円
相続税の速算表に当てはめると(2024年1月現在):
- 3,000万円までの部分:15% = 450万円
- 3,000万円超~5,000万円の部分(2,000万円):20% = 400万円
- 5,000万円超~7,200万円の部分(2,200万円):30% = 660万円
合計で1,510万円の相続税が発生することになります。
これは決して少なくない金額です。
このケースの良いところは、5,000万円の金融資産があることです。
この資金を活用して、収益不動産への投資や生前贈与など、様々な相続税対策を検討することができます。
例えば:
- 金融資産の一部を活用して収益不動産を購入し、借家権割合による評価減や小規模宅地等の特例を活用する
- 毎年110万円までの非課税贈与を計画的に行う
- 教育資金贈与の特例(1,500万円まで非課税)を活用する
- 金融資産を活用して法人を設立し、資産管理会社として運営する
このように、相続税対策は保有資産の構成によって、取れる選択肢が大きく変わってきます。
特に金融資産がある場合は、その資金を活用して様々な対策を講じることができます。
2. 資産形成と相続対策の3つの柱
私が考える資産形成と相続対策の柱は以下の3つです:
① 不動産投資による節税効果の最大化
② 生前贈与の活用
③ 法人化による資産保全
① 不動産投資による節税効果の最大化
前回詳しくお伝えした通り、不動産投資は相続税対策として非常に効果的です。
特に一棟物件は、借地権や小規模宅地等の特例を活用することで、大幅な節税効果が期待できます。
借地権や小規模宅地等の特例を活用することで、大幅な節税効果が期待できます。
借地権とは他人の土地を借りて建物を建てる権利のことですが、借地権の価値は、相続税評価において通常、更地価格の70~80%程度に評価されます。
一方、賃貸不動産の場合は「借家権」という考え方があり、入居者がいることで所有者の権利が制限されているとみなされ、評価額が約30%減額されます。
小規模宅地等の特例とは、相続した土地の評価額を最大80%減額できる制度です。具体的には:
- 自宅の敷地として使用していた土地(特定居住用宅地)は、330㎡までの部分について80%減額
- 事業用の土地(特定事業用宅地)は、400㎡までの部分について80%減額
- アパートなどの不動産貸付用の土地(貸付事業用宅地)は、200㎡までの部分について50%減額
例えば、路線価6,000万円の土地にアパートを建てて賃貸している場合の評価額の計算過程を見てみましょう:
- 貸付事業用宅地の特例で50%減額(200㎡までの部分)
6,000万円 × (1 - 0.5) = 3,000万円
- 借家権による30%減額
3,000万円 × (1 - 0.3) = 2,100万円
このように、本来6,000万円の評価額だった不動産が、2つの特例を適用することで2,100万円まで圧縮され、約65%もの評価減となります。
つまり、相続税の課税対象となる金額を大幅に抑えることができるのです。
ただし注意点として、これらの特例を適用するには一定の要件を満たす必要があります。
例えば:
- 貸付事業用宅地の特例は、相続開始前から貸付事業を行っていることが条件
- 特例の適用には、相続人が引き続きその事業を継続することが必要
- 相続後3年以内に売却などをした場合は、特例が適用されない
このため、相続税対策として収益不動産を活用する場合は、これらの要件を事前によく確認し、計画的に進めていく必要があります。
私の場合、先日購入した静岡の物件も、将来の相続を見据えて法人での購入としました。これにより、相続時の評価額を現金や預金と比べて大幅に抑えることができます。
② 生前贈与の活用
毎年110万円までの贈与は非課税です。これを計画的に活用することで、将来の相続税負担を軽減できます。
例えば、20年間にわたって毎年110万円ずつ子供に贈与すると、2,200万円の資産移転が非課税で可能です。
長期的な視点で考えれば、より多くの資産を次世代に移転することも可能です。期間は自分の状況に応じて柔軟に設定できるのが、この制度の良いところです。
ここで重要なのは、生前贈与のタイミングです。「Die with Zero」という本でも指摘されているように、子供たちが贈与を最も有効活用できるのは、20代・30代・40代といった比較的若い時期です。
住宅購入の頭金や、起業資金、子育て費用など、人生の重要な場面で資金需要が高まるこの時期に贈与することで、お金の価値は最大化されます。
しかし自分の場合は、毎年110万円の生前贈与は、子供が社会人になって自活できるようになるまでは行わない予定です。
子供が経済的に豊かになることは良いことですが、自活する意欲を損なわないように注意する必要があるからです。
親からの援助は、子供の自立を支援するタイミングで行うことが重要だと考えています。
一方、親が亡くなる間際、つまり子供たちが50代後半や60代になってからの相続や贈与は、資金の有効活用という観点からすると、その価値は相対的に低くなります。
すでに自身のキャリアが確立し、資産形成も進んでいる時期だからです。
このように、生前贈与は単なる相続税対策ではなく、次世代の人生をより豊かにするための重要な手段と捉えることができます。
贈与のタイミングを工夫することで、税制上のメリットだけでなく、資金を受け取る側にとっての価値も最大化できるのです。
ただし、教育資金は一般的に親が負担するものなので、実は通常の教育費用であれば、この制度を使わなくても贈与税の対象にはなりません。
むしろ教育資金の一括贈与の非課税措置は、祖父母から孫への教育資金贈与など、将来の教育資金も含めて大きな金額を一括で贈与する場合に有効な制度です。
例えば、祖父母が孫の将来の教育資金として1,000万円を贈与する場合、この制度を使わないと贈与税の対象となりますが、この制度を利用すれば非課税で贈与することができます。
③ 法人化による資産保全
個人で資産を持つより、法人化することで様々なメリットが生まれます。
- 相続時の評価額を下げることができる
- 経費処理による節税が可能
- 事業承継がスムーズ
特に不動産投資を行う場合、法人化のメリットは大きいです。私も現在、保有する収益不動産の多くを法人名義に移行中です。
3.具体的な行動計画
相続対策は、以下のような段階を踏んで進めることをお勧めします:
Step1:現状把握
現在の資産状況(不動産、預貯金、株式など)を正確に把握し、将来の相続税額をシミュレーションします。これにより、どの程度の対策が必要かが明確になります。
Step2:対策方針の決定
家族構成や資産状況に応じて、最適な対策を選択します。
例えば:
- 不動産投資による節税
- 計画的な生前贈与
- 資産管理会社の設立
など、自分の状況に合った方法を選びます。
Step3:専門家への相談と実行
税理士や不動産の専門家に相談し、具体的な実行プランを立てます。
相続は税務、法務、不動産など様々な専門知識が必要なため、信頼できる専門家のサポートを得ることが重要です。
自分の経験から言えば、相続対策は単なる節税策ではなく、家族全体の将来設計として捉えることが重要です。
5. まとめ:早めの準備が重要
35歳で大病を患い、貯金を使い果たした経験から、人生の不確実性を痛感しました。
だからこそ、50歳になった昨年から、計画的な資産形成と相続対策を進めています。
若いうちは、相続なんて先の話と思いがちです。しかし、効果的な対策には時間がかかります。
特に不動産投資は、物件の目利きや資金計画など、じっくりと取り組む必要があります。
皆さんも、将来の相続について、できるだけ早めに考え始めることをお勧めします。
準備は早すぎることはないですよ。
では、では〜